請求書は、個人事業主(フリーランス)が取引先へ業務の対価を請求する際に発行する、重要な証書である。単なる支払い要求の書面ではなく、取引の事実を証明する公的な役割も担っている。そのため、作成にあたってはいくつかの法律上の要点を押さえておかなければならない。
請求書には、発行者の氏名または名称、取引年月日、取引内容、取引金額、そして宛名といった基本項目を正確に記載しなければならない。これらに加え、2023年10月からは始まったインボイス制度で、適格請求書発行事業者として登録している場合、登録番号や軽減税率の対象である旨、税率ごとに区分した消費税額といった項目を記載した、所定の形式を守る必要がある。この形式を満たさないと、取引先が消費税の仕入税額控除を受けられないため、円滑な取引の継続に影響を及ぼす可能性があることを留意すべきだ。
また、フリーランスを保護する法律として下請法も知っておこう。これは、資本金の大きい発注者による支払遅延や不当な減額などを禁じる法律であり、自身の権利を守る盾となる。なお、発行した請求書の控えは、法律で定められた期間(原則7年間)保存する義務があることも忘れてはならない。
請求書は、こうしたトラブルが発生した際に取引の証拠として機能するため、常に内容の正確性が求められる。法的な要件を遵守した請求書を発行することは、クライアントとの信頼関係を維持し、自身の事業を安定させるための礎となる。トラブルを未然に防ぐためにも、正確な書類作成を心掛けることが重要といえるだろう。