将来の生活設計を考える上で、退職金制度のない個人事業主(フリーランス)にとって資産形成は重要な課題となる。この課題に対応するための一つの有効な手段が、国が設けた小規模企業共済制度だ。これは、個人事業主や小規模な会社の役員が、事業をやめたり退職したりした場合に備えるための共済金制度で、「経営者の退職金」ともいわれる。
この制度の最大の利点は、毎月の掛金が全額所得控除の対象になることだ。掛金は月々1,000円から7万円まで500円単位で自由に設定でき、その全額が課税対象の所得から差し引かれる。また、年の途中での掛金の増額や減額も柔軟に行えるため、事業の状況に合わせて調整しやすい。これにより、所得税や住民税の負担を直接的に軽減することが可能となる。前年の所得を基準に算定される国民健康保険料も、所得が下がることで結果的に抑えられる効果が期待できる。
将来、共済金を受け取る際にも税制上の優遇措置が受けられる。一括で受け取る場合は退職所得扱い、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得扱いとなり、いずれも給与所得などと比べて税負担が軽くなるように設計されている。
注意点として、加入期間が20年未満で任意解約した場合には、受け取る金額が掛金総額を下回る可能性がある。そのため、長期的な視点で無理のない掛金を設定することが重要である。現在の節税と将来の資産形成を両立できるこの制度は、フリーランスが自身の未来を守るための有力な選択肢の一つといえるだろう。